#2 藍ある雫は嵐のよう

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「遅い!!!!私がどれだけ待ったと思ってるの!!」

校門に近づいた俺たちに鬼の形相で怒鳴ってきたのは藍川 繭(あいかわ まゆ)。いわゆる幼馴染ってやつです。性格は男勝りなスポーツウーマン。こいつにスポーツさせて負けたところはほとんど見たことない程である。

雫「おいおい。遅いって、俺達はいつも通りに登校してるぞ?」

繭「はぁ~‥‥これだから雫は‥‥問題です!今日は何の日でしょうか?」

雫「新学期の開始日。」

繭「そう!ということはクラス替えの発表日!こんな日にいつも通りに登校なんておかしいじゃない!いつもよりも早く登校して、始業前に新しいクラスメイトとお喋りでしょ!?」

霞「‥‥ゆっちゃん。それ雫や響也には意味ない話だよ。」

雫「ナイスツッコミだ妹よ。」

繭「え?あっ‥‥‥特S‥‥‥」

雫「そういうこと。俺も響也も特Sだからクラス替えは特S落ちしない限りないわけ。」

緋「繭ちゃん相変わらずだね(笑)。雫兄とお兄ちゃんに限って特S落ちはないだろうしね~」

    俺達が通う桜坂学園は1学年10クラス、学生総数400人以上という少子化が囁かれるご時世だが入試の倍率も県No.1の人気高校である。

   1年生はAIまでの9クラスに別けられ、2学期から10クラス編成になる。入学した学生の中から選りすぐりの学生だけが入れるクラス。それがSクラス、通称『特S』である。

俺も響也も1年からずっとこの特Sである。

このクラスは基本的にメンバーが減ることはあっても増えることはない。

    成績が基準を下回ると問答無用でテスト翌日から通常クラスにされるのだ。一応、一般クラスから特Sに上がれる仕組みはあるらしいが、そもそも一般クラスのテストで特S基準の成績を認めさせるのが難しい仕組みなので、ここ何年かそんな生徒はいないらしい。

まぁ俺も1人しかそんな例外しらないが。。。

    こんなクラスに所属してるため、俺も響也もクラスメイトは1年の時から変わらないので新学期のクラス替えのドキドキ感なんて久しく味わっていない。

響「まぁまぁ。せっかく繭が待っててくれたんだ。久々にクラス替えでも見に行ってみるか!」

繭「響也‥‥!」

雫「‥‥‥はぁ~。‥‥行くか。繭のクラスも知っとかなきゃだしな。」

繭「え!?‥‥‥そ、それってどういう‥」

響・霞「おっ!?」

緋「えっ!?」

雫「繭が宿題そっちのけで部活してたらどこまでが範囲かそのクラスの生徒に聞かなきゃいけないからな。」

繭「~~~!!雫のバカ!!!さっさと行くよ!」

響・霞・緋「はぁ~~」

雫「おい響也。繭はなんであんなに怒り出したんだ?」

響「雫‥‥‥まぁ雫だもんな。」

霞「雫はゆっちゃん逃したら一生独りだよ。」

緋「‥‥‥」

雫「な~にお前ら人を可哀想なやつみたいに言ってんだ。さっさと繭追うぞ。」

響「‥‥とりあえず良かったな。まだチャンスはあるぞ。」

緋「!?な、なに!?お兄ちゃんは急になにを!!」

なんか後ろで響也が緋咲の頭に手を乗せてひっそり話しかけて戯れてるな。兄妹仲が良くて何よりだ。

そう思いながら霞の手を引き俺は先に突っ走った繭を追いかけた。

追いついたと思ったらクラス発表の掲示板の前で繭は固まっていた。

雫「んで、繭は結局何クラスだったんだ?てかここ特Sのクラス発表じゃねぇか。お前はあっちだろ。」

と、俺は一般クラスの掲示板を指した。

繭「あ。。あ。。し、雫。あ。」

繭は言葉にならない声を出して俺の方を見てきた。

霞「何?ゆっちゃんとうとう留年?良かったね。留年でも霞たちがいるよ。まぁあたしも緋咲も特Sだけど。」

そんなバカな。さすがにこいつでもそれは無いだろ。と、心の中で霞にツッコミを入れていると掲示板を見た響也と緋咲が、

響「!?!?う、嘘だろ‥‥‥」

緋「!?み、見間違いじゃないよね‥‥」

だから何なんだよ。2人揃って。

響「心の中で返答してないで掲示板見ろって!」

雫「エスパーかよ。まさか響也が特S落ちか?だからあれだけ油断するなって‥‥!?」

Sのクラス発表掲示板の1番上に載っている名前を見て皆がなぜ固まっているのかを理解した。

と、同時にこのクラス発表が特Sのものなのか、俺は2度も3度も確認した。

Sのクラスで間違いないし、俺と響也の名前もある。

まじか‥‥‥

1番上に書かれていた名前。それは。

“藍川 繭”

続く。